人狼ガチ勢が語る「蓮とビス」人狼ゲームにおける中村海人のキラープレイ
前回の記事の最後でも少し語ったんだけど、まだ話し足りないな〜と思ったので書くことにしました。
蓮とビス最終回で行われた、兄組の人狼ゲーム。
※ゲームの配役や進行や勝敗についてネタバレがあるので未見な方はご注意下さい
何故かと言うと僕、人狼ガチ勢なんですよ。
人狼好きにしか通じないと思うんですが、アルティメット人狼は全回見てるし、スリアロも八割くらい見てるし、TLPTもかなり観劇してるし、対面戦績数はたぶん3桁。TLPTメンバーと同村時にメイソンから見事に護衛されて勝利したのが今でも思い出。
ただ別に強くもないんですが、多少人狼に明るい自信はあります。
そんな僕から見て、今回の人狼ゲーム、
個人的ベストプレイヤーはラストウルフの中村海人くん(うみんちゅ)でした。
ただ、この評価、人によって分かれるだろうなとは思います。
盤面ロジックから不要とも言えるCO(カミングアウト)をした点でうみんちゅを評価しない人もいると思う。
ロジック自体への視線の明るさは樹が卓抜していた。
実際、最初の2狼を吊れたのは、樹の進行と観察眼がかなり見事だったから。
けど、僕は、ロジック重視進行をあまり好まないタイプです。
人狼ゲームって、半分くらいはロジックが大事なんですけど、
もう半分くらいは「ロジックを越えようとする心理戦」が大事だと思うんですね。
そこに求められるのは、観察力だったり、演技力だったり、
パッションだったり、思い切りだったりする。
この「心理戦でロジックを越えようとする」人がどれだけいるかで、
人狼ゲームの面白さが決まると僕は思っています。
むしろロジックが苦手な方には、積極的に心理戦から挑んで欲しい。
今回、そんな心理面でのバトルを一番上手くやったのがうみんちゅでした。
逆に言うと、自担ながら言いにくいんだけど、樹は若干プレイングミスだったなという評価。
樹は進行上のロジカルな判断はパーフェクトで、そこには全くミスはなかったし、その面だけから言えば兄組の中でかなりできるプレイヤーだと思うんですが、心理戦では惜しかった。
まず冒頭。「疑わしき人物」としてさっくんが浮上しました。
実際にさっくんは人狼だったわけですが、さっくんのプレイミスは「市民」だと言ってしまったことですね。まあ、彼のキャラクター上は仕方ないですね。「市民だ!」と言うのが彼のキャラクターみたいなところがあるので。
でも、例えば、「市民とは言ったけど、市民側ってだけで、何か役職を持っているかもしれないじゃないか!」なんて発言があれば、少なくとも吊り回避は出来たかもしれません。
ただ、さっくんがここで市民と明言したことで、樹が「市民なら吊っても問題ない」というロジカルな判断を下し、みんながその判断に乗って初日の狼吊りが決定しました。
SnowMan人狼でも同じでしたが、さっくんの市民主張って基本的に「自分は人狼ではない」以外のことを言っていないので、吊り逃れられる主張ではないところがウィークポイントです。
吊り逃れは、「別の人物に疑いを向ける」か「役職を名乗る/匂わせる」のどちらかが出来ないと難しいですね。
さっくんはそういう意味ですごくいいプレイヤーだと思います。
楽しく場を盛り上げられるゲームを作れるのは、人狼プレイヤーに大事な才能です。
初晩で阿部ちゃんが襲撃され、2日目の朝。
「疑わしき人物」にしずが浮上しました。2日目で起きたことは、実は初日と同じ構造です。
特に何のロジックもなく、本人のキャラクター/性格を加味した「疑い投票」で選ばれたしずが、たまたま人狼だったという話です。つまり、さっくんと全く同じ。
ここでもしずが市民なのかどうなのかという質問が行われ、しずは「市民側のマンモス」などと誤魔化していましたが、市民なのか役職なのかと問い詰められ、結局「普通に市民」と言ってしまいます。
ここで当然、初日と同じ樹から「市民なら死んでもいいな」というロジックで追われました。
しずからすると、真の占い師である阿部ちゃんが死んだことは知らない状況でしたが、それでも本来はここで占い師を名乗るのがベターでした。
今回の場合は、阿部ちゃんが死んでいるので占い師を完全に乗っとれた盤面でしたし、もし、占い師が死んでいなかったとしても、この状況で占い師を騙るのは有効な戦略です。真の占い師をおびき寄せることができますからね。
霊媒師は2人いるレギュレーションなので、霊媒師を騙って結果騙りをするのはかなり難しいし、騎士騙りが有効と言える盤面でもありません。なのでしずはここで占い師を騙るのが最もベターな戦略でした。そうでなければ、初日と同じロジックが働き、吊り逃れはほぼ不可能だからです。
ちなみにここで見事なのは慎太郎でしたね。「阿部ちゃんを襲撃しそうな人狼って……」という視点での推理にここで踏み出せていた。
疑った元太は違いましたが、心理的な視点は極めて正しいです。
北斗とジェシーがそこに乗って元太に疑いを向けたのも良かった。ほぼ吊り位置が決まった状況下でするべきことは、グレーの疑わしき人物をロジックでなく疑っていく市民の思い切りだからです。
ここでしずが吊られ、3日目の朝、襲撃されたのは樹でした。
ここで襲撃されてしまうことに樹のプレイミスがあり、うみんちゅのキラープレイが光ります。
樹は初日に阿部ちゃんが襲撃されたことを踏まえ、人狼の襲撃パターンを推測するべきでした。
襲撃パターンは明快かつ合理的で、慎太郎の推測通りです。
「ロジカルかつ議論上で脅威となりうる人物を襲撃する」。
初日の阿部ちゃん襲撃を決めたのがうみんちゅであるかどうかは別として、この時点で樹襲撃を決定したのはうみんちゅですね。ここで騎士を抜けていました。お見事です。
樹は騎士であるにも関わらず、明らかに狙われやすい進行位置にいました。
ロジカルで多弁な進行をするのは樹のプレイスタイルだと思いますが、2日目で襲撃パターンに気付いた上で心理戦を展開するなら、2日目の時点ででわざと「疑われ位置(SG位置=スケープゴート)」に入れる心理戦を仕掛けられれば一枚上手だったと言えるでしょう。
例えば、樹は「俺結構喋ってるけど俺のこと疑ってる人いる?」みたいな差し水を向けたらよかったかもしれないですね。
「なんでそんなこと言い出すのか? 人狼なんじゃないか?」と誰かから発言を引き出して、疑い位置に入れればベターです。人狼はSG位置に入った人物を襲撃しにくくなるからです。
けれど実際にはしずが吊られた後、樹が襲撃されました。
ここからラストウルフ、中村海人の戦いが始まります。
疑わしき人物として浮上した髙地が霊媒師COし、さっくんとしずが人狼であったことを明かします。
ちなみに、今回の髙地のプレイも素晴らしいプレイでしたね。
北斗が「髙地、普段だったらもっと喋るのに喋らなかった」というトークを向けましたが、多弁な人物が襲撃され、注目された人物が処刑される今回の進行の中で、人狼の死を知った霊媒師がするべきことは、議論中なるべく寡黙にして注目されにくく振舞うことだからです。
そして人狼の残り数から、ここでの髙地のCOはパーフェクトだったと言えます。これはもちろん続けてCOしたまつくにも言えることです。
さきほどと同様ですが、ここで慎太郎がグレーである康二への疑いにすっと議論を切り替えたのもいいプレイですね。ちゃんとさっくんの吊り議論からの推理に移行している。実際には、慎太郎はミスリードをしていて、康二は狼じゃないんですが、2人霊媒の真偽はほぼ確定なので、ここでグレーの議論に移行する発言自体は良かったと思います。
そしてここでのうみんちゅは見事。寡黙に徹しましたね。誰からも疑われず生き延びました。
康二に疑いが向いたのをいいことに、議論をそのまま泳がせていたんですね。
ここで康二が処刑され、ジェシーが噛まれました。
このジェシー噛みは合理的で見事。
追放投票の時、霊媒師の髙地が「待った、俺殺されるわ」っていうんですね。
そこですかさずジェシーが「騎士が、霊媒師守ればいいんでしょ」と発言。
うみんちゅは明らかにここでジェシーを騎士位置だと疑ったはずです。
実際にはジェシーは騎士ではなく、樹が騎士だったわけですが、うみんちゅはちゃんと明確に発言から騎士を狙いに行っているんですね。素晴らしい。
ちなみに、ジェシーがどこまで意図したかは不明ですが、騎士保護の観点から言えば、このジェシーの発言はナイスプレイでした。
しかも、ジェシーは実は前の晩の占い師が出てこない状況の議論で、「占い師が死んでいるということは樹と阿部ちゃんのどちらかが占い師だったんだ」という盤面整理をちゃんとこなす発言をしていました。
一方で、ジェシーはふっかや慎太郎や北斗ほどの多弁ではなかったので、潜伏騎士らしい振る舞いも完全にできていたと言えます。
さて、ラストターンですが、緊急ルールが追加されました。
「今回のターンで人狼を処刑できなければ、市民の負け」。
かなり人狼寄りのズルイ追加ルールだと思いますが、このゲームはあくまで動画化されるショーなので致し方ないとは思います。2狼と占い師が死んだ以上、このまま続けてもグレーの殴り合いしか起きなくて、見応えにかけてしまいますからね。
ここでうみんちゅの動きは本当に見事でした!
普通、残り人数で言えば騎士は出るべき盤面ではありません。しかし、緊急ルールの追加でラストターンになった以上、「騎士は絶対にCOするべき役職」になったんですね。
普通、ここで人狼が素早く騎士COするのは相当勇気がいります。
この時点で「疑わしい人物」に上がっていたのは、ダテ様だったので、うみんちゅは実際黙っていても大丈夫ではあったんですね。
そもそも誰の目線でも真騎士が生きている可能性はありましたから、ここで真騎士が対抗に出られてしまえば、一気に吊り候補がうみんちゅを入れた二択になってしまうんですよね。
でも、そのロジックに勝ってうみんちゅは騎士COができた。直後に謎の「市民の人は手を挙げて」というコールに誤って手を上げてしまっていましたが、うみんちゅの騎士COは完全に成功していたので、心理的にそこでの疑いからは逃れられました。
誰かが「うみんちゅ市民に何で手を挙げたの?」と気付いて疑いを向けたとしても「間違えちゃった」で済ませられるレベルで、騎士COは成功していました。
実際、最終盤面なので、結局うみんちゅは疑いを向けられたら、騎士CO以外の有効打はない盤面だったんです。万が一真騎士が生きていても、少なくとも2択までは行けます。
だからこそ信用を勝ち取るには早さが全て。真騎士が出た後、トーク中に自分に疑いを向けられてから「実は騎士」とCOしても勝てません。
なので、あのスピードで判断して、騎士COを思い切ったうみんちゅは見事です。
樹を騎士と見抜いたのではなく、ジェシーで襲撃で騎士を抜いたと判断していたのだと思いますが、それにしてもパーフェクトプレイ。
人狼プレイヤーとして、最終盤面で騎士CO回避できるラストウルフってめちゃくちゃカッコいいと思います。本当に見事ですね。
もちろん、ちゃんと「市民COした人物は吊っても良い」という正しい目線でロジカルに2狼を追い詰めた樹も見事でした。カッコ良かった!
ただ、フタを開けてみれば、このゲームは最終的に樹VSうみんちゅだったわけで、自担の負けを認めるのも悔しいですが、中村海人のパーフェクトラストウルフは認めざるをえないと思いました。
僕は樹のリベンジが見たいので、是非また兄組で人狼してください。
楽しみにしてます。