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終わりはまだまだ遥か先の方だ

SixTONES「Lemonade」楽曲考察――Jラテンポップの未踏を進む

SixTONESの3rdシングル「NEW ERA」の通常盤カップリング曲「Lemonade」。

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CDリリースはされたものの、YouTubeなどでまだ公開されていないので、ここでYouTubeを貼ることができないのが口惜しいのですが、そのうち何らかの形で音源をYouTubeに出すだろうと思うので、そのときにはここに後から貼りたいなと思っています。

買ってないけど聴きたいという人は、公式サイトの試聴音源をどうぞ。

試聴してみてフルで聴きたくなったという人は、「NEW ERA」通常盤をどうぞ。
SixTONES「NEW ERA(通常盤)」
https://amzn.to/3lvb5YD

公式サイトでは、「トロピカルなサウンド最新のレゲトンのリズムを取り入れたSexyなラテンポップス」と紹介されています。

南国やビーチを思い起こさせる熱帯の音が響くトロピカルなサウンドに、一度聴いたら忘れられない「Gimme that Gimme that, Lemonade, Lemonade」という心地よいフックが印象的な楽曲です。

「Lemonade」で使われているリズムは、音楽用語では「トレシージョ」と呼ばれ、
「3-3-2(X・・X・・X・)」
の調子で刻まれるラテンのリズミカルなパターン。

そしてそのリズムで鳴っているのはおそらくマリンバ

マリンバをトレシージョのリズムで鳴らすリフレインでヒットしたのが、2017年、エド・シーランの「Shape of You」です。

だから一聴したときに「Shape of Youに似てる!」と感じた人も多いはず。


Ed Sheeran - Shape of You [Official Video]

シーランがこの曲でヒットを出して以降、現代はトレシージョの時代と言ってもよいほど。

ただ少しややこしいけれども、「Shape of You」にもこのリズムは使われているが、公式に言われる「最新のレゲトンのリズム」というのは、「Shape of You」のことではないんですよね。

むしろ、ここで公式に「最新のレゲトンのリズム」として特筆すべきは、ラテン・ポップのルイス・フォンシと、レゲトンダディ・ヤンキーがタッグを組んだ「Despacito」の方です。この曲もトレシージョ。

 
Luis Fonsi - Despacito ft. Daddy Yankee

 「最新の」とは言うけれど、実はこれも「Shape of You」と同じ2017年1月にリリースされた曲。

2017年当時は「Shape of You」のほうが上位だった(2017年のSpotifyの1位と2位)のですが、現在ではこれが逆転していて、今では「Despacito」のほうが上。「Shape of You」の再生回数をはるかに超え、先月(2020年10月)、ついに70億回という"YouTube史上最多の再生回数"を更新したそうで。

なので、公式で言われている「最新のレゲトン」というのはどちらかというと多分この曲を意識しての表現だと思います。そして「ラテン・ポップス」らしさでいうと、「Despacito」のほうがニュアンスは近いですね。

そして「Despacito」のほうが歌詞含めエロい。ラテンの情熱的なイメージというか。エロティックさという方向では近いのかも。

 ただ、「Lemonade」にあるセクシュアルなニュアンスは、「Despacito」の太陽浴びてるラテンのセクシーな感じとはちょっと違うんですよね。

そこで、個人的に気になるのは、(もちろんトレシージョのリズムで鳴るトロピカルなマリンバも印象的なんですが)やっぱり冒頭から鳴る笛の音!

一番この曲を引き立たせているのはこの音だと思うんですよね。

めっちゃ印象的で気になりません?

たぶん、たぶんなんですけど、これ僕が調べた限りだと、インドの「シャハナイ」っていう楽器の音なんじゃないかな?と思うんですよね。

 
|| Lokesh Anand || Shehnai || Raga malkuns Part 2nd

この音があることによって、トロピカルサウンドの「南国リゾート感」や、ラテンなエロスだけでは生まれない、「マジックリアリズム」感、めちゃくちゃ妖しげ~な、夕暮れから夜に移ろう砂漠の宮殿の夜のイメージみたいなものがあるというか。

お前そのレモネードに媚薬かなんか入れたやろ!みたいな妖しさ。

「怪しい」じゃなくて「妖しい」。

話がそれてしまいましたが、とにもかくにもヒップホップとラテンの融合であるレゲトンのブームを受けて、ラテンポップの存在感が着実に増している中で、ジャニーズからこういう曲を選んで出してくるアイドルが現れるというのは間違いなく、音楽的な潮流としても注目されうる出来事だと思います。

ラテンポップのブームはK-POPアイドルにも影響していて、K-ラテンポップのブームも生まれている。代表とも言えるのは、MONSTA Xとセバスチャン・ヤトラがタッグを組んだ「Magnetic」。


Monsta X, Sebastián Yatra - "Magnetic" (Official Video)

こういう観点でいうと、SixTONESの「Lemonade」は、(これから来るかもしれない)J-ラテンポップの最前線にいると言って良いんじゃないでしょうかね。

少なくともいま日本でラテンポップやっているボーイズアイドルは他に僕は知らないですね。これが「未踏を進む」ということなのかもしれません。

ちなみに、あまり関係はないとは思うんですけど、思い出すのがジャニーズJr.チャンネル時代にやってた楽器で遊ぶ動画。


SixTONES【新たなる音楽性?】芸術の秋…世界のおもしろ楽器に挑戦!

ラテンアメリカに打楽器が多いってことなのかもしれませんが、こうしてみるとペルーとかキューバとかラテンの楽器選んでるメンバーが多い。SixTONESはラテンと相性がいいのかもしれませんね。