SixTONES「僕が僕じゃないみたいだ」ファーストインプレッション――誰もが自分の心に嘘をついたことがある。
SixTONESの記念すべき4thシングル「僕が僕じゃないみたいだ」のミュージックビデオが公開されました。
ミュージックビデオは鏡やマジックミラーに映像を写し込むという変わった撮影技法が採られ、万華鏡のように極彩色の光と黒い背景が美しい映像演出になっています。
やっぱSixTONESは黒が似合いますね~!
CDのジャケットからもっと明るいホワイトベースのさわやかな明るい映像を想像していたら思いっきり裏切られました。
個人的に大好きなのは、途中の北斗のソロです。
「君といるときの自分が好きなんだ それがホントの僕だきっと」
ほんっっとにここ最高なので、ぜひ聴いてみていただきたい。
1分44秒のところから。
この楽曲は映画「ライアー×ライアー」主題歌。「ウソから始まるありえない」恋を描いた同映画の内容とリンクする歌詞になっていて、自分が自分らしくいられないもどかしさを「ウソ」で繕おうとしてしまう男心を歌っています。
漫画版「ライアー×ライアー」のほうを僕はひとあし先に読んだのですが、ストーリーと歌詞は確かにリンクしていて、松村北斗が演じることになる透(とおる)の心情にピッタリとハマっています。
もちろん、映画および漫画のストーリーとあわせて「恋愛ソング」として楽しむのが、基本的にはこの楽曲の王道な楽しみ方だと思います。
でも、僕は、この楽曲はきっと「恋愛」に限定しなくても、「好きなもの」に出会ったことがある人なら、誰もが共感できる楽曲なんじゃないか、と思っています。
それは例えば、ある日「SixTONES」を好きになったアナタにとっても。
この楽曲の歌詞は「また僕は嘘をついた」という導入から始まります。
この「嘘」とは「自分の心に対してつく嘘」のこと。
自分の心に対して、常に「好きなものは好き」と嘘をつけずにいられる方はどれだけいるでしょうか?
いや、私は常に自分の好きなものは好きと嘘をつかずに生きてきた、という人もいるかもしれないですが、本当にそうでしょうか。
人が何かを好きになる時、その人の人生は大きく変わります。
人生が大きく変わるその強さに、きっと誰もがたじろぐはずなんです。
「その先に立ち入ってはいけない」と、自分の本能がきっと強く警告を出す。
それでも止められなくて、きっと人は何かを好きになる。
「ジャニーズなんて別に興味なかった」
「アイドルなんて別に興味なかった」
「SixTONESなんて別に」
かつて僕はそんなふうに自分自身の心に嘘をついていたような気がします。
そしてその嘘は少しずつ、自分の心の中の種に水をまいていくのです。
気がつくとその種は芽を出し、葉をつけ、花を咲かせてしまう。
そうなると、もう、自分の心の中に、ずっと「好きな気持があった」という種明かしをするしかない。
自分の心についた嘘を、嘘だと認め、そこに名前をつけなくてはいけません。
そのとき気づくのです。
好きになった、ただそれだけで、自分の人生が大きく変わってしまったことに。
今まで歩いていた道と、いつの間にか違う道の上にいる。
そのとき、自分が自分じゃないみたいだ、と感じることになるんですよね。
SixTONESを好きになったアナタにも、そんな心当たりありませんか。
一方、この映画の主演でもある松村北斗にも、この曲に似つかわしいエピソードがあります。
北斗には、一時期SixTONESのことが嫌いだったという時期があったそうです。
それがいろんな活動を経て、少しずつ変わってきた歴史があるんですよね。
僕はそのころのことをリアルタイムでは知らないけど、2017年の少年たち LIVEのときに「SixTONESのこと嫌いだったけど、最近はそこそこ好き」って言うようになったらしいんですね。
このとき、この「好き」という言葉を言えるまでの間に、北斗にも「自分の心に嘘をついてる期間」があったんじゃないかな~~と僕は想像してしまいます。
もちろん、「嫌いだった」のは本当なんだろうけど、だからこそ「そこそこ好き」と自分の心に正直になれるまでに、たぶん「ライアー」だった期間はあったんじゃないかな。
人がなにかを好きになったとき、その人の人生は大きく変わります。
まるで今までの自分が自分じゃないみたいに。
北斗にとって、SixTONESを好きになることがきっと彼の人生を変えたように、人は何かを好きになることで人生を変えることができます。
恋愛ソングではあるけれど、僕はそんなふうに一歩踏み出せずにいる人への応援歌にもなりうる曲だと思います。
フルバージョンの公開が楽しみです。