飛び込むBlue

終わりはまだまだ遥か先の方だ

映画「リボルバー・リリー」観てきました。(ほんのりネタバレ注意)

映画「リボルバー・リリー」を見てまいりました。

大変面白かったです!

あくまで褒め言葉なのですが、まずは「ずいぶん古臭い題材だなあ!」という感想。

真面目すぎて笑っちゃうくらい大真面目なハードボイルド。

途中でギャグめいた流れが入るとかなら、近年でも「探偵はBARにいる」みたいなタッチのハードボイルドの人気作もありますけどね。

けど本作は、ギャグによることなく徹頭徹尾シリアスを崩さないままハードボイルドをやり通してます。どう考えたってハードボイルドというジャンルそのものが下火だというのに、よくもまあ、この令和の時代にこの「売れそうな感じ」のない、ド直球ハードボイルドな企画が通ったな……と、そう思ってしまいました。

それもチープな予算で見せかけのドンパチやるとかじゃなく、関東大震災後の独特の雰囲気のある帝都をめちゃくちゃ本格的にセット組んで再現しています。冒頭からえっこれセット組んだんですか?っていうあの時代の街中の様子。あれ銀座とかなんですかね? 「いやよくこの予算出せたな!?」というのが率直な感想。マジでたくさん観に行ってあげないとペイしないのでは。

 

それでまあ何が良いかというと、俳優陣がとにかく良いです。見てて大変良い。

全員素晴らしいんですが、主演の綾瀬はるかさんは当然として、特に長谷川博己さん、清水尋也くん、最高のキャスティングですね。それで我らがSixTONESのジェシーも素晴らしかったです。あと全然ノーチェックだったJrの羽村仁成くんも大変良かったですね。

綾瀬さんは、もう一体どこまでやるんだろうこの人、とため息の出てしまう凄さ。「精霊の守り人」のバルサ役などでも、もうその凄さは明らかだったわけですけど。改めてやっぱりすごい。少なくとも国内の女性で綾瀬さん以上のアクション俳優はさすがにいないのでは。

長谷川さんは「八重の桜」でも綾瀬さんと共演してましたね。綾瀬さんと長谷川さんはやっぱりなんだかすごく似合ってました。綾瀬さんを見つめる視線とかがすごく優しくて、それでいて切れ者というか。賢く先を見据えて動く姿がかっこいいんですよね。女性に対する態度の紳士さ、長谷川さんでないと出せない独特の優しい雰囲気、たまらないです。

清水尋也くん。僕のめちゃくちゃ好きな俳優さんです。最初にビビッときたのは「ソロモンの偽証」に出演していたときだったんですが、あの独特な三白眼とアンニュイな眼差し、はっきりとした骨格でいかにも死にそうな顔。そしてあの長身。素晴らしいですよね。なお、作中の役柄について言及すると、清水くんについてはマジでよくわかりませんでした。えっ、結局、誰? 何がしたかった人? 戦いたかっただけの人ってことで本当にOK? なんか思わせぶりな雰囲気で、めちゃくちゃ意味ありそうな感じで登場するのに、マジただの戦闘狂だったってことで終わっている感じですが原作でもそうなんですかね? まあでも戦いに狂ってる尋也は最高だったので全然良いのですが。

続いて我らがジェシー。登場して最初のセリフで脳内ツッコミしましたよね。

「いや誰!?!?」

我々の知ってるジェシーじゃない! まあちゃんとジェシーではあるんですが、完全純粋な悪役。ドス聞かせた声で図体のでかい陸軍の部隊長みたいな人。

作品の構成として仕方ないんですけども、まあこのジェシー率いる陸軍が弱い。いや別に陸軍が弱いんじゃなくて綾瀬さんたちが強いという描き方なのはわかるんですけども、それにしたって銃数丁の女性たちにボッコボコにやられすぎなのでは。民家を大勢の陸軍で取り囲んでおきながら、中国語で指折りカウントしながら部下が瞬殺されていくジェシーちゃん可哀想過ぎる。そりゃ上官にも怒られますわ。ていうかよく怒られるだけですんだな。民家に匿われてる女ひとり子ども一人を拉致るために何十名連れて行って、全員やられて一人で帰っていくのマジどんな気持ち? これがギャグじゃなくてマジで大真面目にやっているのでだいぶ面白いです(あっ、disってないです)。

あの184cmの長身が出す存在感が、本当に良い悪役感出せてましたね。これはジェシーだけじゃなくて、綾瀬さんも長谷川さんも清水さんもそうなんですが、とにかくスタイルがバチクソに良いのがこの映画においてはものすごい映えてました。

そしてかなり想定外に良かったのがJrの羽村仁成くん。まったくチェックしていなくてこの映画見るまで知らなかった子なのですが、なんかこう、これからも着々と俳優業もやっていけそうな子だなという印象です。嵐の二宮くんが嵐としてデビューする前から俳優として起用されていたみたいな、いずれ売れて俳優業しっかりやっていくジャニーズの初期みたいな片鱗を感じます。

言及し続けるときりがないですが、豊川悦司さんとかシシド・カフカさんとか、いやもうほんとうに俳優陣が最高……。

 

俳優のことばかり褒めてますが、実際、俳優を見に行く映画と言っても、マジで過言じゃないと思います。

大正モダンな雰囲気とハードボイルドの掛け算の中で、尋常じゃなくスタイルと顔の良い男女が、軍服着たりスーツ着たりドレス着たりしながらファッショナブルにアクションしまくる作品なので、とにかく華やかで目に良いです。眼福。

最初に「古臭い」と言っておいてなんなんですが、絵面は終始おしゃれです。街並みと服装とバトルの組み合わせでビジュアルがめちゃくちゃ良い。

 

ストーリーはまあ「戦争では平和は掴み取れない、日本は経済とか頑張ろうよ」みたいな話なんですけど、そうはいってもこのあと日本は戦争まっしぐらしてボロ負けするやんけという史実を知っているので、ねえという感じです。陸軍と海軍いくらなんでも仲悪すぎやろとか。内戦しとるんか。野暮なツッコミなのかもしれませんが。

でも別にストーリーつまらなくて見てられないということは全然なく、起承転結しっかりしていて十分エンタメ活劇として面白がれる作品だと思います。

 

「ハードボイルドなストーリーとアクション」✕「大正モダンのファッショナブルさ、華やかさ」✕「関東大震災後の帝都の独特の空気感」✕「顔とスタイルが抜群に良い俳優たち」という掛け算でこういうものが作れるっていうのを、そりゃ行定勲監督ははじめから分かっていたんでしょうけれども。

いやしかしそれでも「予算かけても大ヒットが見込めそう!」とはあまりならない、「今どきじゃない」感じの題材なので、これにGOを出せた東映ほか協賛企業各位マジで素晴らしいなと思います。

良いものみせていただきました。ありがとうございます。