SixTONES「RAM-PAM-PAM」歌詞考察――その意味は、溢れる自信。
SixTONES待望の新曲「RAM-PAM-PAM」。
この曲、めちゃくちゃ格好いい、ものすごくクールな曲だぞということを僕は書きたい。
人気DJが鳴らすナイトパーティー、押しつぶされそうなくらいの音圧でバキバキの重低音が鳴り響くクラブフロア、極彩色の華やかなライト、熱狂するオーディエンス、そこに君臨し、観衆を惹きつけるのは官能的なほどに色めいた6人の男たち――
そんなSixTONESの新しいイメージを更新してくれる最高の1曲だと僕は感じました。
この曲を手掛けたMark Angelsは、フィリピンとスコットランドの血を引く英国ロンドン在住の新進気鋭のポップ・アーティスト。
R&Bの巨人・Usherなどの影響を受けて育ち、ゴージャスでエレクトリックなサウンドメイキングが得意です。
SixTONESは、欧米最新のポップサウンドを取り入れ、世界の最前線、グローバルなフィールドで戦おうとしている――そう解釈してよいと思います。
Mark Angelsは2016年に「Do It For Love」でデビューし、2018年に「Climax」を発表、2019年に「Drown」を発表しています。
音楽の最新トレンドをキャッチアップする「Clash Music.com」の解説によれば、「Climax」は「過去のネガティブな感情をポジティブな方法に置き換える『音の復讐』」だといいます。(参照:Clash Music.com)
そして、Mark本人の解説によれば「Drown」は「友情の毒を描いた音の表現」だといいます。(参照:FRESH)
ネガティブなニュアンスをクールなサウンドで昇華する、というのが彼の音楽スタイルなんだろうという印象を僕は持ちました。
そして……それってSixTONESにぴったりじゃないですか。
「RAM-PAM-PAM」の表現も、おそらくその系譜にあるのだろうと思います。
タイトルの「RAM-PAM-PAM」の意味について、正確なニュアンスを知るには、勿論、この楽曲の作詞を手掛けたONIGASHIMA氏に尋ねるしかないと思うのですが、おそらくは、ドラムでビートを刻む擬音(rum pum pum)と、一種のカースワード(ram pam)を混ぜたようなニュアンスの意味があるのではないかと思っています。
カースワードというのは日本語に訳すのがとても難しい。「悪態語」というと多少ニュアンスは通じると思います。その言葉自体には大した意味がなく、いわゆるスラング(俗語)で、単に悪態をつくニュアンスだけで使われます。(参照:Urban Dictionary: ram pam)
This fete is bare ram pam. Leh we move from bout hey.
→分かりやすい英語に訳すと: This party is utter rubbish. We should leave.
→日本語に訳すと:このパーティマジでくだらない、もう帰ろうぜ。
ニュアンスとしてはそういう「くだらないイメージ」「ネガティブなイメージ」をまとう言葉だということです。
そして「rum pum pum」というのは、ドラムや太鼓をたたく時の擬音。
「Little Drummer Boy」というクリスマス聖歌があって、アメリカではたくさんの人にカバーされているポピュラーソングなのですが、2014年にはPentatonixがカバーしています。
キリストの聖誕をお祝いしたい貧しい少年が、お金はないけれど太鼓は得意だったので、演奏でイエス様を喜ばせたという心温まる歌です。(参照:Little Drummer Boy / Pentatonix)
I played my best for Him, pa rum pum pum pum,
rum pum pum pum, rum pum pum pum,
僕は太鼓をたたきました
一生懸命、御子さまの為に
でも、この曲の場合はそんな可愛い少年の太鼓じゃないですね。
フロアに鳴り響くバッキバキの重低音。
オーディエンスを煽るゴリゴリの激しいビートです。
「RAM-PAM-PAM」。
歌詞を読めば瞭然ですが、つまり、この曲は、
「ネガティブなイメージやくだらないアレコレ、
フロアに響かせるこの激しいビートで俺らが全部吹き飛ばすから、
踊ろうぜ、バカになろうぜ、
振り向かずに高いところ行こうぜ、夜明けまで自由に歌い叫ぼうぜ」
という――そういう曲なんだと僕は解釈しました。
RAM-PAM-PAM...
We’re gonna bust it up right now(俺らそれ今すぐぶち壊すから)
振り向かずにWe’re going higher(高みに行くぜ)
自由になってSing it loud (歌い叫ぶぜ)
ネガティブなニュアンスを音楽で昇華する、Mark Angelsらしいスタイルの展開でありつつ、SixTONESのスタイルにぴったりの方向性です。
下品とすら評されかねないようなセクシャルなステージングも、歌詞を読めば、悪評すら見越して創られたパフォーマンスなんだろうとわかります。
他人のネガティブな反応に気をもむ必要ってないんですよね。
「ガセネタに踊らされるくらいなら、流行りの最新Tune流して踊った方が楽しいよ~みんなにオススメするよ~」ってもう田中樹の言葉そのままじゃん、という感じ。
自信に満ち溢れ、「いいから俺を見ろ」という挑発的な迫力。
本当にすがすがしいくらい荒々しく、痛快で、魅力的だなと思います。
聴きこんでみれば、なるほどめちゃくちゃ上目指す感じのSixTONESだ、と思う曲なんですけど、正直最初は、こういう曲が出たって聞いたときは想定外も想定外って感じでした。
だって、「"Laugh" In The Life」と「光る、兆し」が出てきた後に、
24時間テレビで「シンデレラガール」歌って、
そのあとでこんなイメージの曲出すなんて思わないですよね。
常に想像を裏切って楽しませてくれる。
クレバーだな、最高だなぁ。
きっとこの曲すらも、SixTONESが世界に打って出るためのひとつの布石にすぎないのだろうな、と考えるとワクワクするというか恐ろしくすらもあります。