SixTONES「Telephone」歌詞考察――距離を隔てても、僕らは想像力で愛しあえる
SixTONESデビューシングル「Imitation Rain」のカップリング曲、「Telephone」のDance Practice VideoがYouTubeに公開されました。
定点で見れるのめちゃくちゃありがたい。定点shotのDance動画大好きです。
そしてこの曲大好きです。
こういうエレクトロ・ハウスっぽいサウンド、個人的にとっても好みなので。
この楽曲の作詞を手掛けているのは、SixTONESデビュー前の楽曲「RAM-PAM-PAM」の作詞も手掛けているONIGASHIMA氏です。
前曲「RAM-PAM-PAM」では、強気で勢いのある彼らのかっこよさが表現された歌詞とサウンド、その一方で、刺激的でセクシュアルなパフォーマンスが話題になりました。
しかし、この曲「Telephone」はその正反対。
低くダークなひずみの効いたエレクトロ・サウンド、クールなラップ。
コール・ミー・ハンドを取り入れた振り付けもイカしてる。
一聴すると流行の洋楽めいた英語交じりのリリックはめちゃくちゃスタイリッシュに聞こえる。けれど、歌詞を読み解いてみると、めちゃくちゃホットでエロい歌詞になっているんですね。
KAT-TUNの楽曲カバーなどを含め、セクシーな演出やパフォーマンスをすること自体は珍しいことではありません。
でも、クールな表情で歌い、スタイリッシュにパフォーマンスしながら、実は英語でなかなか直球なくらいセクシーなナイトラブを歌っている、そういうパターンというのは新しい試みなんじゃないでしょうか。面白いですね。
ジャニーズらしからぬ楽曲、という感じもしますが、逆にこういうカッコつけ方が許されるのもジャニーズたるゆえんという感じもします。
受話器越しの声 Make me go crazy
お望みのままCan be together, Can be together
はぐらかさないでBe my baby
もうありのままでMaking love...
Making LoveはSexを意味する言葉なので、紛れもなくそういうニュアンスを含ませた楽曲であるわけです。
「受話器越しの声」、要はテレフォンセックスを匂わせた歌なんですよね。
ただ、決して下品なそれではない。
FuckでもなくHaving sexでもなくMaking loveなんです。
美しい表現ですよね。ポルノで想像されるような下卑た営みではなく…
外出できない嵐の夜、会えない恋人たちが密やかに交わす声だけの艷やかなやりとり。
想像力だけがお互いをつなげ、目の前にいない相手を描いて、愛し合う。
声だけでつながる濃厚接触。
どこにいたって繋がるよ、と彼らは歌う。
歌詞には性的なニュアンスを含めた愛し合いが婉曲的に表現されてはいるものの、もちろんもっと清純な、プラトニックな愛のメッセージとして受け止めたって構いません。
この楽曲は現在のコロナ禍以前にリリースされたものです。
なので、セクシュアルな楽曲のコンセプトから考えても、もちろんまったくそのような届き方を想定してはいないわけですが……しかし、現在僕らがおかれている未曾有のパンデミックにおいて、「距離を隔てても、僕らは想像力で愛し合えるんだ」というこの曲のストーリー。
なんだか必然性のようなものも感じてしまいます。
今回のコロナ禍で、僕もいろんな人と会えなくなりました。
大我が出演する予定だったニュージーズに行けなくなってしまったのも辛いし、もっと身近な友人、会いたかった人と会えなくなってしまったのも悲しい。
けれど、今はそうやって家にいることがが大切な時期ですよね。
そして、今はみんなそれぞれの戦い方で生きている。全力で死線で戦っている人もいる。つらい思いをしている人もいる。
ただきっと、今回のコロナ禍は、何もかも崩れ落ちてすべてが駄目になってしまうような出来事ではないぞ、と僕は思っています。もちろん、それは僕と周囲がまだ無事でいられているから言えることなのかもしれませんが……
でも、ポジティブな変化もあります。世の中が大きく変わっています。
リモートワークが推進され、オンライン教育の必要性が見直され、エンターテインメント分野でもウェブを活用したいろんな配信が行われています。
国際政治的にはヒヤヒヤさせられる出来事もある。イタリアを助けなかったアメリカとEU、でもそのイタリアを中国とロシアが助けてる。スピーディーに、ダイナミックに世の中が動いています。
だから僕たちは、新たな繋がり方を考えていく時期でもある。
大切な人とは、自分で繋がり方を選んでいくことができる。
僕の大好きな『映画ドラえもん のび太の月面探査記』には、こんな印象的なセリフがあります。
「いつでも会えるよ。僕らには想像力があるんだから」
「いつか月と地球が当たり前に行き来できるその日まで、さようなら」
奇しくも、今日、SixTONESがこの「Telephone」の動画をアップロードしてくれたタイミングは、本来僕たちファンが会いに行けるはずだった静岡公演の開演時間でした。
このアップロードを通して、SixTONESはまさにそういうことを僕たちに伝えてくれているような気がするのです。
SixTONESに会えるはずだった公演を想いながら、このDance映像をみたファンはたくさんいると想います。
だから僕も、Telephoneを手に、想像したいと想います。
SixTONESとまた音楽を通じて愛し合える空間を。
満員のドームを。
いつかまた僕らが当たり前にコンサートに行けるその日まで。